法人カードの審査基準は?審査通過に必要な事前準備とできる対策
法人カードを発行する際に最も気になるのは「審査」ではないでしょうか。個人カードの審査では問題なく通る方でも、法人カード審査となると、審査が厳しく通らない……というイメージもあると思います。
今回は、法人カードの審査基準について、
・法人カード審査ではどこを見られるのか
・法人カード審査通過に必要な準備と対策
などを解説します。あわせて、はじめての1枚におすすめの法人カードもご紹介しますので、これから法人カードを作る方は、ぜひ参考にしてくださいね。
法人カードの審査基準は?どこをみられる?
法人カードの審査基準はどのカード会社も公開されていません。ある基準を満たせば必ずOK、NGということはなく、総合的に判断されます。
法人カードの審査では、一般的に以下の項目が見られます。
法人カード審査のチェックポイント
- 設立年数(経営年数)
- 経営者のクレヒス(信用力)
- 財務状況は健全か
- 固定電話があるか
設立年数(経営年数)
一般的に、会社の設立年数、経営年数は長ければ長いほど社会的信用を得やすいと言えます。やはり、設立間もない会社よりも、歴史と実績ある会社のほうが「経営がしっかりしているから長く続けられている」とみられやすいのです。
とはいえ、設立間もない会社であっても、実績が短いから審査に絶対に通らないというわけではありません。長いに越したことはありませんが、財務状況や事業内容などが良ければ、十分に通る可能性はあります。
経営者のクレヒス(信用力)
法人用のカードでも、経営者の信用情報(クレヒス)は大きく影響します。特に、個人事業主の場合は登記簿謄本などがないかわりに、経営者のクレヒスに重きをおいているケースが多いもの。
いくら事業内容がよく、実績があっても、経営者のクレヒスに傷があると審査に悪影響があるのです。逆に、借金があってもしっかり返済をしているような方では「信用できる」と判断されやすくなります。
クレヒス=お金に関するあなたの履歴書
クレヒスとは、個人の「信用取引」に関する情報。いわば、あなたのお金に関する履歴書です。審査では、クレヒスの情報の中でも、例えば以下のような項目について、チェックされます。
・ローン系の借入総額
・銀行や消費者金融からのカードローンの状況
・マイカーローンの状況
・住宅ローンの状況
・教育ローンの状況
・クレジットカードの支払い状況 など
項目から見てわかるように、要するに「今いくら借金があって、いくら払っているのか」「過去の借金はきちんと返済しているのか」を見ることで、お金に対する信用度を確認しています。
過去に大きな金融事故(返済しない、大きく遅延する等)を起こしていると、当然審査上不利になります。
財務状況は健全か
法人カードを発行する際は、会社や事業の財務状況が健全かどうかも見られます。もちろん、黒字経営が理想ではありますが、赤字であっても必ずカード発行されないわけではありません。
歴史ある会社であったり、事業内容が時世に合っていたりなど、プラスの要素があれば審査通過も狙えます。カード審査は、あくまで総合的にみられるため、一つの要素では発行の可否は決まりません。
固定電話があるか
個人向けカードではさほど重視されなくなってきた固定電話ですが、法人カードでは意外と重視されています。固定電話=事業の実態があると判断されやすいためと考えられます。
IP電話・光電話でもいいので番号の準備を
最近では、IP電話や光電話などの通話料が安い固定電話も存在します。一般的な「電話回線の電話」である必要はなく、固定電話があることが重要ですので、事業でも電話を利用するのであれば、カード審査の前に番号の準備をしておくのがおすすめです。
法人カードの審査が難しい理由
法人カードの審査は「難しい」と考えられています。そうされる理由としては、以下の2点が挙げられます。
- 法人と代表者、双方の財務状況をチェックされる
- 審査通過には適切な準備が必要
法人と代表者、双方の財務状況をチェックされる
個人事業主向けカードではなく、企業を対象として法人カードでは「法人」と「法人代表者」双方の財務状況をチェックされます。たとえば、会社の財務状況がうまくいっていたとしても、代表者のクレヒスが非常に悪く、借金をしては支払わない……といった状況であれば、カード発行は難しくなります。
法人と代表者、どちらか一方の財務状況が悪ければ、カード発行に影響が出てしまうことから「審査が難しい」と言われています。
審査通過には適切な準備が必要
法人カードの審査通過には、適切な準備が必要です。初歩的なものとしては銀行口座の準備から、少々面倒なことでは登記簿謄本や印鑑証明書の準備などがあります。その他、審査に通過する確率を上げるための「対策」も行っていくことで、より法人カードを手に入れやすくなります。
個人カード審査よりも書類等の準備が多い
個人カードでは、フラッと出かけた先でカードを作ることも珍しくありませんが、法人カードは書類をはじめとする「準備」が必要なことから、審査が難しいと言われてしまうのでしょう。
法人カード審査通過のための事前準備
法人カードの審査には、以下の書類が必要です。
- 法人あるいは経営者個人名義の銀行口座準備
- 登記簿謄本または印鑑証明書の取得(6か月以内発行のもの)
- 代表者の本人確認書類のコピー
法人あるいは経営者個人名義の銀行口座準備
法人カードの引き落とし先は、原則法人講座です。経営者の個人名義の銀行口座を作ることもありますが、カードによって異なります。
法人口座は、個人口座のようにすぐ作れるものではなく、時間がかかります。よって、カードを発行したいタイミングに間に合うよう、早めに準備しておく必要があります。
ちなみに、カード会社によって、「法人名+代表者個人」名義の口座しか利用できない……といった縛りがあるケースがあります。発行したいカードが事前に決まっている場合は、法人名だけでOKなのか、法人名+代表者個人名もつけた法人口座が必要なのかは確認して対応しましょう。
登記簿謄本または印鑑証明書の取得(6か月以内発行のもの)
法人カード審査では、登記簿謄本を取得し、提出する必要があります。ほとんどのカード会社で「6か月以内に発行されたもの」を求められますので、古い証明書類ではなく、新たに発行してきた方が無難です。
カード会社によっては、印鑑証明書+定款や決算書等のセットで事業の実態を証明すればOKなところもありますが、登記簿謄本を提出する方が労力も少ないため、基本的には登記簿謄本の提出がおすすめです。
登記簿謄本は管轄の法務局またはオンライン申請で取得可能
登記簿謄本を取得するには、管轄の法務局に出向くか、もしくはオンラインからの申請で取得可能です。1通600円かかりますので、無料でないことは覚えておきましょう。
代表者の本人確認書類のコピー
意外かもしれませんが、法人カードの発行の際にも、代表者の本人確認書類のコピーが必要です。運転免許証や保険証、住民票の写しなど「本人が確認できる書類」も準備しておきましょう。
法人カードの審査落ちでよくある理由
法人カード審査では、以下の理由で落ちるケースが多いと言えます。
- 設立年数が浅い
- 財務状況が悪い
- 固定電話・屋号名がない
設立年数が浅い
設立年数は、やはり企業や事業の信頼性に直結します。設立年数だけで判断されるわけではありませんが、設立年数が浅いと、審査落ちの原因となることも考えられます。
財務状況が悪い
先述の通り、法人カード審査では「法人の財務状況」だけではなく、「代表者の財務状況」もチェックされます。そのどちらかが悪ければ、審査では不利です。
最も悪いのが、法人でも個人でも「借りたお金を返さなかった」というクレヒスが残っていること。やはり、過去にお金を返さなかった会社や個人は信用できないため、新たなカード発行も難しくなります。
固定電話・屋号名がない
固定電話を用意していたり、個人事業でも屋号がしっかりあったりすると「しっかり経営している」イメージをもたれやすく、審査に有利です。逆に、財務状況や設立年数もさほど良くない中で、固定電話もない、屋号も用意していない……となると、審査落ちに繋がります。
固定電話や屋号がないことは、直接の審査落ちの理由とはならないかもしれませんが、審査落ちの一つの要因になり得ることは知っておきましょう。
個人事業主は法人カードに審査落ちしやすい?
個人事業主は法人カードの審査に落ちやすい、と考えている方も多いようですが、 個人事業主だからといって審査落ちしやすいことはありません。
ただし、個人事業主の場合、カード審査に登記簿謄本の提出や実績の証明が必要ない分、本人のクレヒスが重視されます。
事業関連の書類提出がない=本人のクレヒスで審査が左右される
よって、事業が成功していても、本人のクレヒスが悪ければ、カード審査には落ちてしまいます。
「法人カード」と聞くとハードルが高い、不安だ……という場合は、個人事業主向けの法人カードもあるので、そういったカードも検討してみると良いでしょう。同じランクの法人カードよりも、個人事業主にとって審査が柔軟な傾向があります。
法人カード審査に通るための対策
法人カード審査に通るためには、以下の対策が有効です。
- オフィスはできるだけ実際に場所を借りる
- 固定電話をひく
- 個人の不要なクレジットカードは解約しておく
- 申し込むカードは1枚に絞る
- 審査が柔軟な法人カードを選ぶ
- 会社のホームページを作成しておく
オフィスはできるだけ実際に場所を借りる
法人カードを申し込む場合、どこにある会社なのかは申請すると思いますが、その際「オフィスを実際に構えている」のと「かまえていない」のとでは、やはり信頼度が変わります。
カード審査のためだけにわざわざオフィスを借りる必要はありませんが、今後、オフィスを借りる予定があるのなら、カード審査の前に準備しておきましょう。
固定電話をひく
記事中何度も解説している通り、固定電話の有無は意外と審査でみられています。法人カード審査を受けるなら、固定電話をひいておき、実態のある事業だとアピールしておくほうが有利です。
個人の不要なクレジットカードは解約しておく
会社の代表者の方が複数のクレジットカードを持ちすぎていると、法人カード発行の際に「与信枠」でひっかかるケースがあります。与信枠とは、「この人に信用してどれだけお金を貸せるか」という枠です。
代表者の与信枠のせいで発行できない、という事態を防げる
例えば、与信枠がカード会社に500万円と判断されると、すでに手持ちのカードで500万円の合計利用限度額があった場合、新たに法人カードを発行するのが難しくなります。
使っていないカードをいくつか解約しておけば、与信枠が解放されて審査通過しやすくなります。法人カードに申し込む際は、いらないカードは解約しておきましょう。
申し込むカードは1枚に絞る
申し込みをするクレジットカードは、1枚に絞りましょう。どうしても必要な場合は2枚程度であれば問題はないかもしれませんが、多重申し込みは基本的にカード会社から喜ばれません。
逆に、「こんなに複数のカードを申し込んでいたら、発行しても使ってもらえないかも」と判断し、審査落ちしてしまう可能性があります。審査落ちのリスクを減らすためにも、申し込み時は欲張って複数枚狙うのではなく、本当に欲しい1枚に絞って申し込みましょう。
審査が柔軟な法人カードを選ぶ
法人カードにこだわりがなく、とにかく「法人カード」が欲しい! というのであれば、まずは審査が柔軟な法人カードを選ぶのがおすすめです。いきなりプラチナカードを狙って失敗するよりも、堅実に、事業性や財務状況が良ければ設立間もなくてもOK、というような柔軟なカードからはじめましょう。
最近では、ステータス性が高くても審査は柔軟、というアメックスのような法人カードもあります。好みにあわせて吟味してください。
会社のホームページを作成しておく
最近では、会社について知りたい人は必ずホームページをチェックしますよね。法人カード審査を行う際も、ホームページがあれば、クレジットカード会社があなたの会社情報をしっかり見ることができます。逆に、オンライン上になんの情報もないと、実績や実態を疑われかねません。
少しでも信用度をあげてカード発行を有利にするために、ぜひ会社HPやブログを作っておきましょう。
法人カードの申し込みの流れ
法人カードの申し込みの流れは基本的に同じです。ここでは、三井住友カードを例に、申し込み手順を解説します。
法人カードの申し込み手順
- 申し込みたいカードを選ぶ
- 申し込みフォームに入力
- 申込番号を受け取る
- 口座振替設定
- 入会審査
- カード発行
三井住友カードの場合、口座振替設定を行ってから入会審査に入ります。よって、個人カードの審査とは異なり、「審査通過後に口座設定をする」ことができません。カードの申し込み時点で口座を用意しておくことが不可欠ですので、ご注意ください。
個人事業主は個人向けカードと流れは同じ
個人事業主向けカードの場合は、個人向けカードと流れはほとんど同じです。法人としての各種証明書は不要ですので、さほど構える必要はないでしょう。提出書類は個人カードと同じです。
法人向けカードは提出書類等に違いあり
法人向けカードの場合は、下記書類が必要です。個人事業主では登記簿等はいらないので、その点が大きく異なります。
・6ヵ月以内に発行された、法人としての確認書類(登記事項証明書、登記簿謄本の写し、印鑑証明書等)
・代表者の本人確認書類(運転免許証などの写し)
・法人あるいは経営者個人名義の銀行口座
特に、法人の銀行口座は開設までに時間がかかる場合もありますので、カードを持っておきたいタイミングに間に合うよう、事前にしっかり準備しておきましょう。
最近は会社設立1年未満で作れる法人カードも
よく、法人カードの審査では「設立3年経っていない会社では厳しい」と言われますが、最近では会社設立1年未満で作れる法人カードも少なくありません。
設立間もなくとも財務状況など重視のカードは発行可能
設立年数だけではなく、財務状況など総合的に判断してくれるカードなら審査通過は十分に可能です。設立年数が長く、財務状況もしっかりしていないと審査に通らない、いわゆる厳しいカードではなく、今の状況を柔軟に判断してくれるものを選ぶのがコツと言えます。
法人代表者・個人事業主向けカードなら設立年数は関係なし
法人代表者、個人事業主向けカードであれば、登記簿謄本等は不要のため設立年数に関係なくカード発行が可能です。ただし、法人としての各種証明が不要な分、経営者本人のクレヒスが非常に重視されます。
もちろん、信用できるクレヒスなら審査に通過しやすいと言えますので、
・普段から借りたお金は必ずきちんと返済している
・カードは定期的に利用して返済を滞らせたことはない
という方は自信をもって申し込みしてみてください。
法人カード審査がはじめての方でも申し込みやすい法人カード
ここでは、会社の設立が間もなく、法人カードを作るのがはじめてで審査に自信がないという方でも申し込みやすい法人カードをご紹介します。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
年会費 (初年度) |
36,300円(税込) | 年会費 (2年目) |
36,300円(税込) |
---|---|---|---|
還元率 | 0.33%〜0.40% | 発行日数 | 約1〜3週間 |
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは、個人向けカードでは富裕層向けブランドとして知られる「アメックス」のプロパーカード。
ハイステータスでも審査は柔軟な1枚
法人カードとなるとさらに審査が厳しそうなイメージがありますが、実は個人カードと比較すると「審査が柔軟」なことで有名です。もちろん、設立1年未満の会社でも審査通過の実績があります。
サービス内容、ステータス性ともに申し分のない1枚ですので、ビジネスのパートナーに手堅い法人カードを求める方におすすめです。
JCB法人カード
年会費 (初年度) |
無料 | 年会費 (2年目) |
1,375円(税込) |
---|---|---|---|
還元率 | 0.5%〜1.0% | 発行日数 | 約2週間 |
JCB法人カードは、日本発の国際ブランド「JCB」が発行する法人カード。一般カードからプラチナカードまで各種揃っていますが、はじめて法人カードを発行するならこの「一般カード」がおすすめ。設立1年未満でも柔軟に審査を行ってくれます。
ビジネスを始めるパートナーにふさわしい手堅い1枚
従業員にも発行可能なため、複数の従業員にカードを持たせたい方にもおすすめ。年会費も安く、ビジネスを始める一歩として手堅いカードを求める方におすすめです。
まとめ
法人カード審査でも個人カード同様「信用力」が大切
法人カード審査であっても、個人カードと同様に「信用力」が最も大切です。カードを発行する=お金を借りるため、お金に対する信頼度が審査通過を左右するのです。
逆に言えば、たとえ設立年数が浅く、さほど利益をあげていない事業であっても、信用情報(クレヒス)が良ければ、柔軟に発行される可能性もあります。
まずは法人カードの中でも、事業の状況に応じて発行できそうなものを探し、その中で使いたい条件に合うかを判断し、申し込みをしましょう。個人カードよりも申し込み時の事前準備は必要ですが、取得すれば心強いビジネスツールとなりますので、ぜひ活用してください。
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