求職者支援資金融資制度でお金を借りるための条件と手続き方法
「職業訓練受講給付金を受給しているけれど、職業訓練期間中の生活費が足りない…」という方は、『求職者支援金融資制度』でお金を借りられる可能性があります。
本記事では、「求職者支援資金融資制度とはどういった融資なのか」、「求職者支援資金融資制度の申し込み条件」、「職業訓練受講給付金とは」、「求職者支援資金融資制度への申請方法」などについて、詳しく解説していきます。
この記事で分かること
求職者支援資金融資制度の概要
まず、求職者支援資金融資制度とはどういった融資制度なのかを解説していきます。
職業訓練受講給付金だけでは生活費が足りない方が利用できる
「求職者支援資金融資」は、求職者支援制度で職業訓練受講給付金を受給する予定の方を対象とした貸付制度です。職業訓練受講給付金を受給しても、その給付金だけでは訓練受講中の生活費が不足する場合に融資を受けることができます。
求職者支援資金融資とは、職業訓練受講給付金だけでは生活が足りない方が利用できる借入制度です。
求職者支援資金融資制度の限度額や金利
この求職者支援資金融資制度の限度額や金利、融資期間などのスペックは、以下のようになっています。
限度額 | 月額5万円〜10万円 |
---|---|
融資期間 | 12ヶ月(最大24ヶ月) |
金利 | 3.0%(0.5%の信用保証料を含む) |
貸付方法 | 本人の口座へ貸付金額を一括振り込み(※ろうきんの口座に限る) |
返済方式 | 元利均等返済 |
返済期限 | 貸付日から5年以内(貸付額が50万円以上の場合は10年以内) |
遅延損害金 | 年率14.5% |
家族構成により求職者支援資金融資の利用限度額が異なる
求職者支援資金融資制度の限度額は、家族構成により「5万円〜10万円」となっています。
同居、別居に限らず、生計を一とする配偶者や父母、子がいる場合は、最大月額10(1万円単位)、単身者は最大月額5万円(1万円単位)の借入が可能です。
受給期間は最大12ヶ月単位(上限24ヶ月まで)
また、求職者支援資金融資制度は、職業訓練の期間(職業訓練受講給付金の対象期間)が、受給対象期間となります。また、借入金は本人の口座へ一括で振り込まれます。
例えば職業訓練の期間が6ヶ月の場合、6ヶ月分の求職者支援資金が口座へ振り込まれます。また、職業訓練の期間が24ヶ月の場合、12ヶ月分が口座へ振り込まれた後、最初の12ヶ月が経過する前に、再度、求職者支援資金融資制度へ申し込まなけへばなりません。
なお、振込先の口座ですが、「労働金庫(=ろうきん)」しか対応していないため、労働金庫の口座がない方は、申し込み時に口座を開設しなければならない点に注意してください。
金利は低いが「遅延」には十分に注意する
また、求職者支援資金融資制度の金利は3.0%となっていて、民間の借入(※生活費の借入の場合は年率10.0%〜18.0%ほど)よりも低金利で、お金を借りられます。
しかし、元金と利息の支払いに遅れた場合は、年率14.5%の遅延損害金が発生するので、返済には遅れないよう十分に注意しておく必要があります。
求職者支援資金融資制度への申し込み条件
続いて、求職者支援資金融資制度への申し込み条件について解説します。求職者支援資金融資制度を利用するためには、以下の項目を満たす必要があります。
- 職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方
- ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方
それぞれの項目について解説します。
職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方
求職者支援資金融資制度は、「職業訓練受講給付金」の支給決定通知(※)を受けた方しか利用できない点に注意してください。
※職業訓練受講給付金については、後の項目で詳しく解説します。
ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方
さらに、求職者支援資金融資制度を利用するには、ハローワークで「求職者支援資金融資要件確認書」の交付を受ける必要があります。なお、求職者支援資金融資要件確認書の交付条件は、以下のようになっています。
- 貸付を希望する理由が適当と認められる
- 貸付金を返済する意思があると認められる
- 暴力団員ではない(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第2条第6号に規定する暴力団員)
求職者支援資金融資要件確認書の交付には、経済的に苦しく職業訓練受講給付金だけでは生活費が足りない…などの「適当な理由」が必要となります。
また、求職者支援資金で借入した後は、元金と利息を必ず返済しなければならないため、貸付金の返済意思が認められない場合は審査に落とされます。(※貸付金返済の免除はありません。)
職業訓練受講給付金とは
続いて、求職者支援資金融資制度を利用するための必須条件である「職業訓練受講給付金」について解説します。
職業訓練受講給付金は職業訓練期間中に受給できる
「職業訓練受講給付金(求職者支援制度)」は、雇用保険を受給できない求職者の方(受給を終了した方を含む)が、ハローワークの支援指示により職業訓練を受講する場合、職業訓練期間中の生活を支援するための給付を受けることができる制度です。
職業訓練受講給付金で支給されるお金
この職業訓練受講給付金では、職業訓練受講手当として、月額10万円と職業訓練実施機関までの交通費が支給されます。
「求職者支援資金融資制度」は、この職業訓練受講給付金だけでは生活できないという方だけが利用できる貸付金制度となっています。
職業訓練受講給付金への申し込み条件
なお、職業訓練受講給付金へ申し込むには、以下の全ての条件を満たす必要があります。
- ハローワークに求職の申込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 全ての訓練実施日に出席している(欠席の理由がある場合でも8割以上の出席率が必須)
- 世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
上記の条件を満たす方で、職業訓練受講給付金を受給していないという方は、一度ハローワークの窓口へ相談・確認してみましょう。
求職者支援資金融資制度への申請方法
続いて、求職者支援資金融資制度への申請方法について解説します。
- ハローワークで確認申請を行う
- 求職者支援資金融資要件確認書の交付を受ける
- 求職者支援資金融資要件確認書と給付金支給記録を労働金庫に持参し手続き
- 労働金庫の審査〜融資
上の手続きの流れについて、順を追って解説します。
ハローワークで確認申請を行う
まず、ハローワークで確認申請を行います。確認申請とは、「求職者支援資金融資制度への申し込みの許可を得る」ための手続きです。
求職者支援資金融資要件確認書の交付を受ける
申込者に「職業訓練受講給付金の受給が決定」していて、「借入の正当な理由や、借入の返済意思」が認められた場合は、求職者支援資金融資要件確認書が交付されます。
求職者支援資金融資要件確認書と給付金支給記録を労働金庫に持参し手続き
その後、求職者支援金融資要件確認書と給付金支給記録を持参し、ハローワーク指定の「労働金庫(ろうきん)」で融資の申し込みを行います。
労働金庫の審査〜融資
申し込みが完了すれば、労働金庫側で申込者の「審査」が行われます。
労働金庫の審査難易度は?
生活資金を借りられるカードローンのような借入サービスの場合、一般的には
銀行 > 労働金庫 > 消費者金融
のような順で審査難易度が緩やかになると考えられます。
労働金庫は消費者金融の審査難易度よりやや高い傾向がありますが、「求職者支援資金融資制度への申し込み条件を満たしている = ハローワークでの審査に通過している」と見られるため、過去に借入などに関して大きな金融事故(債務の長期滞納や自己破産など)を起こしていない方であれば、スムーズに審査通過〜融資を受けられるでしょう。
求職者支援資金融資制度利用時の注意点
求職者支援資金融資制度利用時に注意しておくべきポイントについて紹介します。
- 職業訓練を途中でやめた場合
- 就職支援を拒否した場合
- 不正受給
職業訓練を途中でやめた場合
職業訓練を途中でやめてしまった場合は、1ヶ月以内にハローワークへ届け出を行い、労働金庫の窓口で契約変更の手続きを行なってください。
職業訓練をやめた日から1ヶ月以内に契約変更を行わなかった場合、債務全額を一括で返済しなければなりません。
就職支援を拒否した場合
また、ハローワークから就職支援を受けているのにも関わらず支援を拒否した場合、求職者支援資金融資の利用規約違反として支給が止められるケースがあります。
求職者支援資金融資の支給が止められた場合も全額を一括返済しなければならないので、ハローワークからの就職支援があった場合、絶対に拒否しないようにしてください。
不正受給
書類偽造などにより不正受給した場合も、強制解約〜全額一括返済のペナルティがあります。悪意があると認められた場合は、詐欺罪や公文書偽造罪などの罪に問われ、処罰の対象となります。
職業訓練受講給付金だけで足りない方は求職者支援資金融資制度を利用する
本記事では、「求職者支援資金融資制度とはどういった融資なのか」、「求職者支援資金融資制度の申し込み条件」、「職業訓練受講給付金とは」、「求職者支援資金融資制度への申請方法」などについて詳しく解説を進めてきました。
求職者支援資金融資をうまく活用して生活の安定化を図ろう
- 求職者支援資金融資とは職業訓練受講給付金受給者が利用できる貸付金制度
- 求職者支援資金融資制度は月額5万円〜10万円が上限
- 融資期間は最大24ヶ月で貸付金は一括で(最大12ヶ月分)口座へ振り込まれる
- 求職者支援資金融資制度の金利は3.0%
- 求職者支援資金融資制度の返済に遅れてしまった場合は年率14.5%の遅延損害金が発生する
- 求職者支援資金融資を利用するには求職者支援資金融資要件確認書の交付が必要
- 職業訓練受講給付金とは職業訓練期間中に支給される支援金
- 求職者支援資金融資の審査は「労働金庫(ろうきん)」で行われる
- 職業訓練をやめてしまった場合は1ヶ月以内に契約変更しなければ債務全額の一括返済を求められる
- 就職支援を拒否したり、不正受給で融資を受けた場合もペナルティとして全額返済が必須
求職者支援資金融資とは職業訓練受講給付金受給者が利用できる貸付金制度で、生計を一とする家族などがいる場合は月額10万円、単身者は月額5万円までの借入が可能です。
また、職業訓練の期間中しか借入できない制度となっていて、最大24ヶ月間利用できます。なお、求職者支援資金融資は「労働金庫(ろうきん)の口座」でしか利用できないので注意しておきましょう。
職業訓練受講給付金だけではお金が足りない…という方は、ぜひ本記事を参考にしながら「求職者支援資金融資」への申し込みを検討してみましょう。