年金担保貸付でお金を借りる条件や手続きの流れ、融資までの日数を解説
年金担保貸付は、福祉医療機構が行う「年金を担保に生活費や冠婚葬祭費、住宅の改修にかかる費用などを借りられる貸付制度」で、「年金で生活しているけれど、生活費や住宅改修費などのお金が足りないから、小口融資を受けたい…」という方が便利に利用できます。
本記事では「年金担保貸付の概要やスペック」、「年金担保貸付の利用条件」、「年金担保貸付への申し込み〜融資までの流れ」、「年金担保貸付代替措置の生活福祉資金貸付制度」などについて詳しく解説していきます。
年金を受給している方の中で、「お金を借りたい」と考えている方は、ぜひ本記事を参考にしながら年金担保貸付への申し込み〜借入に成功させてみましょう。
この記事で分かること
年金担保貸付は令和4年3月末に申込受付が終了
年金担保貸付は、閣議会議において、令和4年3月末に申し込み受付が終了するという方針が決定されました。
年金担保貸付制度・労災年金担保貸付制度は、平成22年12月の閣議決定において廃止することが決定され、厚生労働省から「令和4年3月末の予定で申込受付を終了する」旨の方針が示されました。
ただし、令和4年3月末までに申し込み〜審査に通過した方は、返済期間や利息など、従来の年金担保貸付の条件で利用でき、繰上げ返済の必要もありませんので、安心してください。
年金担保貸付の代わりとして生活福祉資金貸付制度が使える
なお、年金担保貸付の代替措置として、「生活福祉資金貸付制度」が用意されています。(※生活福祉資金貸付制度は後の項目で詳しく解説しています。)
年金担保貸付の概要〜いくらまで借りられる?
はじめに、年金担保貸付の限度額や金利などの概要から紹介します。
年金担保貸付のスペック
年金担保貸付の限度額や金利などのスペックは、以下のようになっています。
限度額 | 受給している年金の年額0.8倍が限度額の上限で、 10万円~200万円の範囲内で1万円単位で借入可能 (生活必需品の購入費であれば10万円〜80万円まで) |
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金利 | 年率2.8% (労災年金担保貸付の場合は年率2.1%) |
返済額 | 年金支給額の1/3以下で下限は1万円 |
担保 | 必要(年金証書) |
保証人 | 原則、連帯保証人が必要 (連帯保証人なしでも信用保証機関による信用保証制度を利用して申し込み可能) |
返済期間 | おおむね2年6か月以内に返済 |
年金担保貸付は200万円(または80万円)まで借入可能
年金担保貸付は、最大200万円(生活必需品の購入の場合は80万円)の限度額があり、年率2.1%または2.8%の金利でお金を借りられるという特徴があります。
生活費などを手軽に借りられる金利15.0%〜18.0%の標準的なカードローンに比べると、「年金担保貸付は非常に低金利で融資を受けられる」と言えるでしょう。
保証人不要で年金担保貸付を利用できる
年金担保貸付は原則「連帯保証人」が必要ですが、連帯保証人を立てられない場合は「公益財団法人年金融資福祉サービス協会」が提供する有料の信用保証制度を利用することも可能です。
年金担保貸付を利用できる条件
続いて、年金担保貸付を利用するための条件を確認していきましょう。
年金を受給している方が年金担保貸付を使える
年金担保貸付は、「年金証書を持ち、その年金を受給している方」が利用対象となります。また、年金証書は以下のようなものが該当します。
- 国民年金・厚生年金保険年金証書
- 国民年金証書
- 厚生年金保険年金証書
- 船員保険年金証書
- 労働者災害補償保険年金証書
※年金証書…年金を受けられる権利の証明として交付される書類
上記の年金証書があり、年金を受給しているという方は、年金担保貸付で融資を受けられる可能性があります。
年金担保貸付を利用できない方
なお、以下のようなケースに該当する方は、年金担保貸付を利用できないので注意してください。
- 年金担保貸付を任意繰上返済し、融資決定時の完済予定日に到達していない場合
- 生活保護を受けている場合
- 特別支給の老齢厚生年金を受給していた方で、65歳時の年金決定手続期間中の場合
- 年金の支給が、全額停止されている場合
- 同一の年金で借入金残高がある場合(返済途中に追加借入不可)
- 反社会的勢力に該当する、または関係する場合
※独立行政法人福祉医療機構の公式サイトから一部抜粋
過去に年金担保貸付を利用していても、完済した場合は再度借入が可能です。しかし、繰上により完済した場合は、当初の完済予定日を過ぎなければ、年金担保貸付を利用できない点に気をつけておきましょう。
年金担保貸付で融資を受ける手続きの流れと融資までの日数
続いて、年金担保貸付で融資を受ける手続きの流れについて解説します。
- 福祉医療機構年金貸付課または取扱金融機関へ相談
- 申し込み手続き
- 審査
- 融資実行
- 福祉医療機構が定額返済金を差し引いたお金を利用者の銀行口座へ振り込み
福祉医療機構年金貸付課または取扱金融機関へ相談
年金担保貸付への申し込み時には、独立行政法人福祉医療機構年金貸付課、または、年金担保貸付の取扱金融機関への相談が必要です。
なお、取扱金融機関は、メガバンクや地方銀行、信託銀行、信用金庫、信用組合など、多くの金融機関が対象となります。
年金担保貸付の利用を検討している方は、普段から利用している銀行や信用金庫などの窓口へ「年金担保貸付」について、問い合わせてみましょう。
参考リンク:ご融資の窓口(受託金融機関一覧)|年金担保貸付事業・労災年金担保貸付事業
申し込み手続き
申し込み条件を満たしていれば、年金担保貸付への申し込みが可能ですが、申し込み時には以下の書類が必要になります。
- 借入申込書
- 年金証書
- 年金支給額を証明する書類
- 実印と印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 本人確認書類
- 資金使途を確認できる書類
それぞれの書類について、簡単に紹介します。
借入申込書
年金担保貸付の借入申込書は、取扱金融機関に用意されています。必要事項を記入して取扱金融機関へ提出します。
年金証書
年金の受給を担保に融資を受ける貸付制度のため、年金受給を証明する「年金証書」が必要です。
年金担保貸付を利用するときには、手続きを行う取扱金融機関へ年金証書を預けなければならないので注意してください。
年金支給額を証明する書類
また、年金支給額を証明する書類も必要です。年金支給額を証明できる書類には、「年金振込通知書」や「年金額改定通知書」、「年金決定通知書」などがあり、発行日が最も新しい書類を提出します。
実印と印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
年金担保貸付の契約書へ捺印するための実印と、その印鑑証明書です。
本人確認書類
本人確認書類は、「運転免許証」や「個人番号カード(マイナンバーカード)」、パスポート」などが対象となります。
資金使途を確認できる書類
また、上記の書類に併せて、「資金使途を確認できる書類」も必要となります。
資金使途を確認する書類とは、「入院や治療にかかった請求書や領収書」、「品物購入の見積書」、「改修工事などの請求書、領収書」などです。
審査
借入申込書や必要書類を取扱金融機関へ提出した後、福祉医療機構により審査が行われます。
年金担保貸付の審査難易度ですが、申し込み時に「何のために使うお金なのかを説明する必要がある=資金の利用目的によっては審査に落とされる可能性がある」という点から、審査難易度はやや高い傾向があると言えるでしょう。
融資実行
審査が完了した後、取扱金融機関から申込者へ、審査結果や融資実行日の電話連絡があり、融資実行日には申込者の銀行口座へ貸付金が入金されます。
福祉医療機構が定額返済金を差し引いたお金を利用者の口座へ振り込み
年金担保貸付で融資を受けた後、返済は利用者が自分で行うのではなく、以下のような手順で行われます。
福祉医療機構が利用者の年金を受け取る
↓
福祉医療機構が定額返済額を差し引く
↓
返済を差し引いた残りを返済余剰金として利用者の銀行口座へ振り込み
年金担保貸付は、上の流れのように強制的に返済が行われる仕組みになっています。
年金担保貸付への審査〜融資までの日数は?
なお、年金担保貸付の審査から融資までには、4〜5週間ほどかかるため、資金調達を急いでいる方は、民間の金融機関が提供するカードローンなどの利用も検討してください。
年金担保貸付の代替措置「生活福祉資金貸付制度」
最後に、年金担保貸付が終了した後の代替措置である生活福祉資金貸付制度について、簡単に解説します。
生活福祉資金貸付制度を利用できる条件
この生活福祉資金貸付制度を利用できるのは、「低所得者世帯」、「障害者世帯」、「65歳以上の高齢者世帯」となっています。
65歳以上の年金受給者であれば、年金担保貸付の代わりとして「生活福祉資金貸付制度」を利用できます。
生活福祉資金貸付制度の金利は無利息または年率1.5%
また、生活福祉資金貸付制度にはさまざまな種類がありますが、生活再建までのお金を借りられる「生活支援費」の場合、単身者の場合は月15万円以内、2人以上の場合は月20万円以内(原則3ヶ月間、最長12ヶ月間)の借入を期待できます。
なお、保証人を立てられる場合は無利息、保証人を立てない場合でも金利1.5%となっているため、「金利2.1%または2.8%の年金担保貸付よりも良い条件でお金を借りられる」と言えるでしょう。
ただし、生活福祉資金貸付制度への申し込み〜融資までには、1ヶ月以上かかる場合が多いので注意しておきましょう。
年金受給者が急いでお金を借りる方法はある?
年金受給者の方で、急いでお金を借りたい方は、即日融資可能な消費者金融カードローンの利用がオススメです。
年金以外に収入があればカードローンの審査通過を目指せる
年金だけが収入源の方は消費者金融カードローンの審査通過は難しいのですが、年金以外にも(仕事などで)「収入がある」という方であれば、65歳以上の方でも消費者金融カードローンでキャッシングできる可能性があります。
また、多くの消費者金融カードローンでは、初めて契約する方に限り「30日間の無利息期間(=借入に対する利息が0円になる期間)」があるため、短期間だけの借入の場合は、年金担保貸付や、生活福祉資金貸付制度からの借入よりも「お得」にお金を借りられるという特徴があります。
年金担保貸付をうまく活用して生活の立て直しを目指そう
本記事では、「年金担保貸付の概要やスペック」、「年金担保貸付の利用条件」、「年金担保貸付への申し込み〜融資までの流れ」、「年金担保貸付代替措置の生活福祉資金貸付制度」などについて、詳しく解説を進めてきました。
融資を急ぐ方はカードローンの利用も検討する
- 年金担保貸付は独立行政法人 福祉医療機構の貸付制度
- 年金担保貸付は令和4年3月末に受付が終了
- 年金担保貸付の代替措置として生活福祉資金貸付制度がある
- 年金担保貸付は最大200万円の借入が可能
- 金利2.1%または2.8%で年金担保貸付を利用できる
- 年金担保貸付は保証人を立てられない場合は保証料が必要
- 年金証書があり年金を受給している人が年金担保貸付を使える
- 年金担保貸付を利用するときには福祉医療機構または取扱金融機関へ相談する
- 年金担保貸付を利用する際には年金証書を取引銀行へ預けなければならない
- 年金担保貸付の審査から融資までには4週間〜5週間ほどかかる
- 生活福祉資金貸付制度は月15万円または月20万円の限度額がある
- 65歳以上の方は生活福祉資金貸付制度へ申し込める
- 生活福祉資金貸付制度も融資まで1ヶ月ほどの日数がかかる
- 年金以外の収入がある方は消費者金融カードローンの借入も期待できる
年金担保貸付とは、独立行政法人 福祉医療機構が行う「年金を担保として融資を受ける貸付制度」です。また、年金担保貸付の限度額は、80万円、または200万円まであり、生活費、住居の修繕費、医療費など、さまざまな用途に利用できます。
年金担保貸付への申し込みは、「令和4年3月末」に受付終了予定ですが、それ以降は、代替として「生活福祉資金貸付制度」を利用できるようになっています。
なお、年金担保貸付や生活福祉資金貸付制度は申し込み〜融資まで1ヶ月ほどの日数が必要となります。融資を急いでいる方で、年金以外に収入がある方は、「即日でお金を借りられる」消費者金融カードローンなどへの申し込みを検討してみましょう。