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銀行カードローン・即日融資停止の影響と2019年の展開はどうなる?

更新日:2024年5月29日 2,617 view

銀行系カードローン

銀行カードローンの即日融資が停止となって1年が過ぎようとしていますが、そもそも、銀行カードローンはどうして即日融資を停止したのでしょうか?

改めて銀行カードローンの即日融資停止の背景を確認することで、2019年以降の銀行カードローンの展開を考えます。

銀行カードローンの即日融資停止の背景

  • 銀行カードローン・即日融資停止の社会的背景
  • 銀行カードローン・即日融資停止の狙い
  • 銀行カードローン・即日融資停止で審査スピードはどうなっているのか?
  • 銀行カードローン・即日融資停止の影響とまとめ

これらについて以下で1つ1つ解説していきます。

銀行カードローンが即日融資停止した社会的背景

厳しさが増す銀行経営

現在、異次元の金融緩和によって異様な低金利が続いており、銀行というビジネスが儲からなくなっています。銀行の本業は預金で集めた資金を企業や個人に貸し出すことで成り立っていますので、運用と調達の金利差である「利ザヤ」が大きいほど利益は厚い訳です。

しかしながら、現在は低金利に加えカネ余りや銀行同士の競争が激化し利ザヤが下げ止まらない状況です。以下のメガバンクトップの三菱UFJフィナンシャル・グループの業績推移を見ても業績が伸び悩んでいることが解りますが、規模が小さい地銀などの銀行は更に厳しい赤字決算の銀行も少なくありません。

その様な中で唯一、好調を維持していた部門がカードローン部門でしたが、銀行業界は昨年、銀行カードローンの即日融資停止を含む自主規制策を発表し実施しています。

全銀協の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は会見で「健全な消費者金融市場の育成に向け取り組みを深める」と述べましたが、その意味するところは一体、何だったのでしょうか?

伸び悩む三菱UFJフィナンシャル・グループ業績推移

  2019年3月予想 2018年3月期 2017年3月期
経常収益(百万円) 6,000,000(-1.1%) 6,068,061(+1.5%) 5,979,568(+4.6%)
経常利益(百万円) 1,350,000(-7.7%) 1,462,418(+7.5%) 1,360,767(-11%)
純利益  (百万円) 950,000(-4.0%) 989,664(+6.8%) 926,440(-2.6%)

ドル箱のカードローン即日融資を停止した本当の理由

2018年以前の銀行カードローンは下記のポイントを強調してきました。その結果、銀行カードローンの融資残高は今年3月末時点で約5兆6千億円と5年で約7割増えました。

一方で消費者金融会社カードローンの融資残高は伸び悩んでおり、2016年からの自己破産の申し立て件数の増加は利用者の返済能力を超えた銀行カードローンの貸し付けが広がったせいと批判が高まりました。このことは銀行カードローンが即日融資停止に追い込まれた1つ目の理由と考えられます。

2018年以前の銀行カードローンの強調ポイント

即日融資 積極的に対応している
総量規制 対象外で年収の1/3以上の貸付を行うことが出来る
適用金利 消費者金融会社よりも低金利で融資を受けられる
収入証明書 提出は不要
融資対象者 収入の少ない専業主婦・パート等も融資を受けられる

銀行カードローンが即日融資停止に追い込まれた2つ目の理由は、反社会的勢力(暴力団関係者)への不当な貸付けが発覚したことです。このことが銀行業界で密かに今回の銀行カードローン自主規制の直接的な原因と言われているのは、「大手銀行が保証会社の審査を通し暴力団関係者に融資を行っていたことが判明した」件のせいということです。

そこで、各行は暴力団構成員など反社会的勢力との取引を断つ狙いもあって、カードローンなど新規の個人向け融資の審査方法を見直しました。

また、全国銀行協会が預金保険機構を介して各行と警察庁を専用回線でつなぎ、利用者に問題がないかを調べることになりました。この警察への照会には時間がかかり結果判明は最短で翌営業日、場合によって1~2週間かかるということで、事実上、銀行カードローンがウリにしてきた即日融資は停止せざるを得なくなった訳です。

銀行カードローンが即日融資停止に追い込まれた3つ目の理由は、消費者金融会社や信販会社に審査を丸投げしていたことです。メガバンク3行を初めとして殆どすべての銀行カードローンには保証会社がついており、その保証会社の大部分は大手消費者金融会社の系列会社です。

つまり、銀行カードローンの審査の大部分は大手消費者金融会社系列の保証会社に委ねられており、銀行が提供しているカードローンなのに銀行自体は審査の内容をほとんど把握していないというケースも少なくなかったようです。

全銀協の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)が述べた「健全な消費者金融市場の育成に向け取り組みを深める」というのは、これら3つの理由から来ていると考えられます。

銀行カードローンが即日融資を停止した狙い

銀行カードローン審査体制の刷新

もともと、金融庁は銀行カードローンを貸金業法の総量規制の対象外とした理由を、銀行には自助努力・自主規制の能力があるからと言ってきました。つまり、銀行のカードローン審査は信頼できるから総量規制を掛けなくとも問題が発生することは無いと考えていた訳です。

しかしながら、銀行の営業現場のモラルハザードは金融庁の想定を遥かに超えていた訳です。そこで、金融庁は昨年9月下旬の「金融レポート」で銀行カードローンの審査体制が不十分なことを指摘しましたが、金融庁の指摘が遅きに失したことは否めません。

一方で銀行業界側は何とかカードローンの自主規制で終わらせたいところでしたが、反社会的勢力(暴力団関係者)への不当な貸付けが発覚したことで防戦一方という形です。その結果、銀行カードローンは切り札の即日融資を停止してでも借り手の情報を警察庁に照会する仕組みを導入し、暴力団員ら反社会的勢力との取引排除を徹底する道を選びました。

即日融資停止の本当の狙いは世間へのアピールか?

そして、銀行業界が最も恐れていることは銀行カードローンにも総量規制が導入されることです。下記の「カードローン業者を規制する法律」にもありますが、現在、銀行の業務を規制する法律は銀行法と金融商品取引法の2つです。

ここに貸金業法の総量規制という規制が加わることは銀行カードローンの自主性が奪われるだけでなく、銀行が最も重要視する銀行としてのプライドも揺らぐことになります。銀行と消費者金融会社などの貸金業者が同じレベルで扱われることに対する抵抗という訳です。それらを守るために銀行業界は即日融資停止と実質的な銀行カードローン事業の自粛の道を選択したと考えられます。

つまり、即日融資停止と即日審査自粛の本当の狙いは世間に向けてのアピールであり貸金業法の総量規制という規制が加わることを避けたと見るべきで、「警察庁へのデータベース照合」を通し社会的に正当な融資を行うというアピールをすることで貸しすぎに関する批判をかわす二重の狙いがあると言えます。

カードローン業者を規制する法律

銀行カードローン 銀行法・金融商品取引法
信用金庫カードローン 信用金庫法
消費者金融会社・貸金業者カードローン 貸金業法(総量規制)
信販・クレジット会社カードローン 割賦販売法

審査スピードはどうなっているのか?

現在の審査スピード

昨年までの銀行カードローンであれば審査に特に問題の無い申込者の場合は、申し込みの当日に年収の半分程度までのお金を借りることはそれほど難しいことではありませんでした。

しかしながら、ここまで述べてきました様に2018年1月より銀行で即日融資を受けることは不可能になっており、最も早いケースで申し込みの翌日に借り入れが可能という状況です。つまり、実質、即日融資が翌日融資になっているということで、申し込みを行う曜日や時間帯によっては融資に数日以上の時間が掛かってしまうことも珍しくないようです。

特に、審査で時間を要しているのは警察庁へのデータ照合ということで、中には数日から1週間程度かかる場合も少なくないようです。一般論として、審査時間が早い人と遅い人の属性は以下の通りです。

一般論として審査時間が早い人と遅い人の属性

審査時間が早い人 勤務先が上場企業・公務員
年収500万円以上
正社員
勤続年数の長い人
ローンやクレジットで遅延がない人
審査時間が遅い人 勤務先が中小企業・零細企業・自営
アルバイト・パート・派遣の人
年収500万円以下
勤続年数が短い人
ローンやクレジットで遅延がある人
申込希望額が多い人

警察庁へのデータ照合とは?

2018年1月からは審査において警察庁へのデータベース照会が行われていますが、警察庁へのデータ照合を行うことで審査には数日以上を要している様です。

銀行がカードローンの新規融資の申し込みを受けた場合、自行の持っているデータベースに照会するのと並行して個人信用情報機関に過去の履歴のチェックが行われます。加えて2018年からは警察庁データベースへの照会が行われている訳で、銀行から預金保険機構を通じて警察庁のデータベースに接続し反社会的勢力に関係がないかを確認する仕組みと言われています。

つまり、個人信用情報機関への照会で申込者のクレジットヒストリーへのチェックは自動的に行われていますので、警察庁のデータベースへの照会は主に反社会的勢力に関係がないかを確認している筈です。警察庁のデータベースへの照会で前科なども解る筈ですが、前科があることがカードローン審査に与える影響は未知数だからです。とは言え民間企業である銀行が前科のある申込者を避けることも考えられないことではありませんが・・・

いずれにしても、今後の銀行カードローンの審査はより厳しくなることは有っても、審査が楽になることは当分、無さそうです。

銀行カードローン即日融資停止の影響とまとめ

即日融資停止の今後の影響

今回の2018年1月からの銀行カードローン即日融資停止などの自主規制は当分続くと思われますが、既に2017年10月から銀行カードローンの融資残高が毎月公表となっています。銀行カードローンの過剰融資を防ぐという事を目的とし、実態調査として各銀行の融資残高を集計し2017年10月から毎月公表されています。

つまり、この融資残高の公表により銀行カードローンの融資残高が明らかに減少に転じるまで、銀行カードローン即日融資停止などの自主規制が続くと考えた方が良いでしょう。また、銀行の現場としては毎月の貸付残高を慎重に本店に上げる必要があるため、より厳しい審査によって契約する顧客を厳選する必要があることから傾向としては審査が更に厳しくなることが予想されます。

つまり、昔から「銀行は晴れの日しか傘を貸してくれない」と言われていますが、カードローンの審査に於いてもお金が必要でない人ほど審査に通りやすいという皮肉な構図が予想されます。

銀行カードローン等・アパートローン残高公表

集計対象 全国銀行(都市銀行、地方銀行、第二地方銀行協会加盟の地方銀行・信託銀行・新生銀行・あおぞら銀行)
集計基準日 毎月末日
報告期限 翌々月第4営業日の午後4時(ただし2月・8月分は翌々月第6営業日の午後4時)
公表日 翌々月第8営業日の午後3時
公表方法 全銀協ウェブサイトに掲載

最短で銀行カードローンの融資を受けるコツ

ここまで、銀行カードローン即日融資停止について述べてきましたが、それでは、予想外の出来事で急にキャッシュが必要になった時に、最短で銀行カードローンの融資を受けるにはどうしたら良いのでしょうか?

現在、銀行カードローンは即日融資停止になっていますから準即日融資や翌日融資を受けるために、以下で考えられることを最後に述べていきます。

まず、最短で銀行カードローンの融資を受けるコツの1つ目は、必要書類を事前に準備しておくことです。予想外の出来事で事前に準備するというのは矛盾しますが、身分証明書としては免許証であれば免許番号の設定があるので個人情報の確認に時間がかからず審査時間を短縮することが可能になります。

また、収入を証明する書類については前年度の源泉徴収票をどこかにしまっておくと便利です。それら以外の必要書類の中には取り寄せが必要なものなど、その日のうちに用意出来ないものもあります。

最短で銀行カードローンの融資を受けるコツの2つ目は、借入希望額を必要最低限の金額にすることです。申込者の心理としては「滅多にカードローンは申込まないのだから少し余裕で申込んでおこう」というものですが、借入限度額の希望は高額ではなく低めに設定する方が審査に時間がかかりません。特に、30万円~50万円以内の金額は審査が通り易い金額と言えます。

最短で銀行カードローンの融資を受けるコツの3つ目は、平日午前中に必要書類を携えて銀行の支店カウンターに飛び込むことです。特に、過去の延滞などがなく審査に問題の無い人の場合は、支店カウンターで急いでいることを担当者に解って貰えば手続を早くして貰うことも可能だからです。

最短で銀行カードローンの融資を受けるコツの4つ目はネット銀行カードローンを狙うことです。一部のネット銀行では条件付きで実質即日融資か準即日融資ができるところもある様で、常日頃からネット銀行の普通預金口座を作っておくことも無駄ではありません。

ここまで銀行カードローンの即日融資停止について述べてきましたが、銀行カードローンの即日融資が法律的に禁止になったという訳ではありません。現在はあくまでも自主規制ですから、今後の推移を見守る必要があると言えます。

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