海外留学のお金はどこから借りる?学生のための留学資金調達方法まとめ
海外留学を希望している方の中には、留学の費用を用意できなくて困っている…という方もいるでしょう。
海外留学には多額のお金が必要になるため、すぐに留学資金を用意するのは簡単ではありません。このため、国、行政や民間企業では、留学資金のためのさまざまなサービスが提供されています。
そこで本記事では、
「海外留学にはどのくらいのお金がかかるのか」
「日本学生支援機構の海外留学奨学金で留学資金を調達する方法」
「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムで資金調達する方法」
「日本政策金融公庫から海外留学のお金を借りる方法」
「銀行の留学ローン(教育ローン)でお金を借りる方法」
などについて、詳しく解説を進めていきます。
この記事で分かること
海外留学にかかるお金はどのくらい?
日本学生支援機構が調査した結果によると、海外留学する方は年々増加傾向にあり、2017年度では前年度約8,500人増、10万人を突破しています。
独立行政法人日本学生支援機構が実施している「協定等に基づく日本人学生留学状況調査」によると、大学等が把握している日本人学生の海外留学状況は、2017(平成29)年度で、105,301人(対前年度比8,448人増)となり、留学生数の多い国・地域は、アメリカ合衆国19,527人(対前年度比687人減)、オーストラリア9,879人(対前年度比394人増)、カナダ9,440人(対前年度比532人増)でした。
出典元:日本人の海外留学者数|文部科学省
また、留学先として人気が高いのはアメリカ、次いでオーストラリア、カナダとなっています。
行く国によって海外留学に必要な費用が異なる
海外留学は行く国によって必要な費用が異なります。
まず、海外留学にかかるお金の把握をしておきましょう。留学にどのくらいのお金が必要となるか分からなければ、準備すべき金額が分からないためです。
留学にかかるお金の目安
留学にかかるお金の目安は、以下のようになっています。
留学先の国 | 3ヶ月間 | 6ヶ月間 | 1年間 |
---|---|---|---|
アメリカ | 100万円 | 150万円 | 300万円 |
オーストラリア | 80万円 | 160万円 | 240万円 |
カナダ | 70万円 | 140万円 | 210万円 |
イギリス | 80万円 | 160万円 | 240万円 |
ニュージーランド | 70万円 | 140万円 | 210万円 |
※あくまで目安となるため、実際に必要となる費用と大きな差額がある可能性があります。
国の物価がそれぞれ異なるため、滞在する国によって留学に必要な費用に違いがある点に注意しておきましょう。
日本学生支援機構の海外留学奨学金などでお金を調達する
まず、「日本学生支援機構」で海外留学に必要な資金を調達する方法から確認していきましょう。日本学生支援機構が海外留学用に提供している資金は、主に以下の2種類があります。
- 海外留学奨学金(給付型)
- 第二種奨学金(貸与型)
なお、海外留学奨学金は返済が不要な「給付型」、第二種奨学金は返済が必要な「貸与型」となっています。それぞれの特徴を解説していきます。
海外留学奨学金(給付型)
日本学生支援機構の海外留学奨学金は、「協定派遣」、「学部学位取得型」、「大学院学位取得型」の3種類に分かれています。
「協定派遣」とは、大学、大学院、短期大学、高等専門学校に在籍する学生が、学生交流に関する協定に基づいて行われるプログラムが支援される奨学金制度です。
「学部学位取得型」と「大学院学位取得型」は、それぞれ留学先の大学、または大学院で学位を取得するための奨学金制度です。
協定派遣への申込み条件と支給される金額
学生個人で協定派遣のプログラムへは申請できません。協定派遣は学校を通じて募集が行われるため、在籍する学校へ協定派遣のプログラムを募集しているかどうかを確認してみましょう。
なお、協定派遣で支給される奨学金は、国や地域により、月額6万円〜10万円となっています。
学部学位取得型・大学院学位取得型の申し込み条件と奨学金支給額
続いて、学部学位取得型・大学院学位取得型のスペックを確認していきます。
奨学金制度の名称 | 学部学位取得型 | 大学院学位取得型 |
---|---|---|
奨学金 | 月額5万9,000円〜11万8,000円 | 月額8万9,000円〜14万8,000円 |
授業料 | 年度250万円を上限とする実費額 | 年度250万円を上限とする実費額 |
支援期間 | 4年 | 修士:2年、博士:原則3年 |
採用人数 | ※2019年度は45名 | ※2019年度は90名 |
学部学位取得型であれば、支援期間4年で最大「1,566万4,000円」、大学院学位取得型では支援期間3年で最大「1,710万4,000円」の奨学金の給付が期待できます。
学部学位取得型・大学院学位取得型の申し込み対象となるかどうかは、「日本学生支援機構」の窓口へ問い合わせてみましょう。
第二種奨学金(貸与型)の利用方法と借入限度額や金利
日本学生支援機構の第二種奨学金は、貸与型の奨学金(=借入)となるため、利用した後は返済が必須なので注意してください。
また、第二種奨学金は、海外の大学、大学院で学位を取る場合のみ利用でき、語学学校在学中は奨学金を借りられない点にも注意が必要です。
なお、第二種奨学金は、大学の場合は月額2万円~12万円の1万円単位、大学院の場合は月額5・8・10・13・15万円から選択できます。金利は年率3.0%が上限で、市場金利に基づいて決定されます。
文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」の海外留学支援制度を利用する
文部科学省では「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」という海外留学支援制度を提供しています。
トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムとは
この「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」とは、2014年からスタートした官民協働の海外留学支援制度です。また、給付型の海外留学支援制度のため、返済義務はありません。
トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムには3つのコースがある
この支援制度には3つのコースが用意されていて、「大学生等コース」、「高校生コース」、「地域人材コース」があります。
「大学生等コース」への申し込みには、第二種奨学金を利用するための家計基準を満たしておく必要があります。
参考リンク:大学での申込資格・申込基準|日本学生支援機構
トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムで支給される費用
留学先によりますが、最大月額16万円の支給を受けられる可能性があります。なお、2020年度(第13期の募集)では、400名が募集されています。
トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムへの申し込み要件は以下のようになっています。
対象 | 申し込み要件(第13期の募集) |
---|---|
派遣留学生 | ・日本国籍を有する学生等又は日本への永住が許可されていること ・日本の大学、大学院、短期大学、高等専門学校(第3年次以上で専攻科を含む)、専修学校(専門課程)において、卒業又は学位取得を目的とした課程に在籍すること ・事前、事後研修及び派遣留学生ネットワークに参加すること ・2020年4月1日現在の年齢が30歳以下であること ・大学全国コース:日本学生支援機構の第二種奨学金の家計基準を満たすこと |
留学計画 | ・留学期間が28日以上1年以内の計画 ※3か月以上推奨「(海外初チャレンジ応援枠」は除く) ・留学先における受入機関を確保できる計画 ・日本の在籍大学等が、教育上有益な学修活動と認める計画 ・実践活動が含まれている計画 |
トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムの利用を検討している方は、文部科学省の公式サイトで詳細な申し込み条件を確認してみましょう。
海外留学のお金を日本政策金融公庫から借りる
留学する子の親であれば、「日本政策金融公庫」から留学資金の借入も可能です。
日本政策金融公庫の「国の教育ローン」を利用する
日本政策金融公庫が提供している「国の教育ローン」を利用すれば、450万円までの借入を期待できます。ただし、海外留学は修業年限が3ヶ月以上必要となる点に注意してください。
なお、金利は固定金利で1.66%、最長15年間の返済期間が設けられています。お子さまの留学資金の調達先を探している親は、日本政策金融公庫からの借入も検討してみましょう。
銀行の留学ローン(教育ローン)を利用する
海外留学に必要なお金は、銀行などが提供している「留学ローン(教育ローン)」からも借入できます。
ちばぎんの留学ローンは最大3,000万円まで借入を期待できる
例えば、留学ローンを提供している「ちばぎん(千葉銀行)」のサービスであれば、金利1.30%〜2.40%で最大3,000万円(都度借入タイプなら1,000万円)の限度額があります。
また、ちばぎんの留学ローンでは、申し込み〜融資まで最短2週間程度、最大6年6ヶ月間の据え置き期間(=元金を返済しなくても良い期間)が設けられています。
銀行の留学ローンは原則安定した収入が必要なため、留学する学生ではなく、留学する学生を持つ「親」が利用するローンとなっています。
スピーディーに留学資金を調達したいなら銀行の留学ローンがオススメ
日本学生支援機構や文部科学省、日本政策金融公庫からの資金調達には、申し込み〜資金提供まで長い日数がかかる場合が多いです。
このため、スピーディーに資金調達したい方は、やや金利が高くなりますが、銀行などの「民間企業」が提供している留学ローンを利用するようにしてください。
海外留学のお金は用途・条件に合った資金調達方法を選ぶ
本記事では、「海外留学にはどのくらいのお金がかかるのか」、「日本学生支援機構の海外留学奨学金で留学資金を調達する方法」、「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムで資金調達する方法」や「日本政策金融公庫から海外留学のお金を借りる方法」、「銀行の留学ローン(教育ローン)でお金を借りる方法」などについて、詳しく解説を進めてきました。
手早く留学資金を借入したい親は銀行のローンやカードローンも検討する
- 海外留学する方は年々増加傾向にあり、2017年度では10万人を突破した
- 海外留学にかかるお金は地域により異なり、年間300万円ほどかかるケースもある
- 日本学生支援機構では給付型の「海外留学奨学金」や貸与型の「第二種奨学金」を提供している
- 日本学生支援機構の海外留学奨学金では最大1,566万4,000円〜1,710万4,000円の奨学金の給付を期待できる
- 日本学生支援機構の第二種奨学金は返済する必要があるので注意
- 文部科学省のトビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムで留学の費用を調達できる
- トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムでは月額最大16万円、2020年度は400名の採用を見込んでいる
- 留学する子を持つ親は日本政策金融公庫「国の教育ローン」での借入も期待できる
- 日本政策金融公庫は金利1.66%、最長15年間の返済期間が設けられている
- 銀行の留学ローンは数千万円単位の借入ができるサービスもある
海外留学する方は年々増加傾向にあり、2017年度では10万人を突破しています。また、留学先の国によって費用は異なり、アメリカであれば年間300万円ほど、ニュージーランドでは年間210万円ほどの出費が目安となっています。
海外留学の資金調達には、「日本学生支援機構の海外留学奨学金」、「文部科学省のトビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」、「日本政策金融公庫の国の教育ローン」、「銀行の留学ローン」などで奨学金の給付や借入を期待できます。
なお、留学の奨学金を返済しなくても良い「給付型」と、返済が必須な「貸与型」があるため、利用前に確認しておきましょう。
日本学生支援機構や文部科学省、日本政策金融公庫などで資金調達する場合は申し込み〜資金提供まで長い日数がかかるケースが多いため、急いで留学資金を借りたい方で安定収入がある方は、「銀行の教育ローン」の利用もオススメです。
留学する子を持つ親がスピーディーに資金調達するのであれば、金利はやや高い傾向がありますが、消費者金融が提供するカードローンも留学資金として利用可能です。